相続における不動産売却の流れと注意点を司法書士が解説
相続に関する不動産のご相談で最も多いのが、相続した土地・建物を実際には使わないので、売却したいというものです。
不動産の売却というイベントは、人生で何度も経験することではないため、こちらの経験値が不動産会社に比べると圧倒的に少ないのが現実です。
より良い売却の方法、より良いタイミング、より良い特例の使い方など、ある程度専門家に相談して最低限の情報を把握した上で、実際の売却することが大切です。
だれが相続するか決まっていない不動産を売却する場合
不動産を誰が相続するかが未決定の場合、その不動産は相続人全員の共同相続財産とされます。この場合、各相続人は法定相続分に基づいて不動産を共有し、全員が共同でその不動産を相続したとみなされます。したがって、相続人がその不動産を売却する際には、各相続人が自分の持ち分に応じた売却代金を受け取り、その金額に基づいて税金を計算し、個別に申告を行う必要があります。
例えば、相続人が3人いて、法定相続分が均等に分配される場合、それぞれが売却代金の3分の1を受け取り、それに基づいて所得税の申告を行います。こうした場合、各相続人は売却に関連する所得税の計算を慎重に行う必要があり、場合によっては専門家の助言を受けることが推奨されます。
また、もしその不動産に相続人の一人が居住している場合には、「居住用財産譲渡の特例」が適用される可能性があります。この特例は、居住用の不動産を売却した場合に一定の条件を満たすことで、譲渡所得に対する課税が軽減される制度です。この特例を利用することで、売却益にかかる税金を大幅に減らすことができる可能性があるため、該当する相続人は特例の適用条件を確認し、適切に手続きを進めることが重要です。
一方で、未分割のまま不動産を売却してしまうと、その時点で法定相続分での相続が確定し、各相続人が法定相続分に基づいて不動産を相続し、共同で売却したとみなされます。このような場合、売却後に遺産分割協議を行い、法定相続分とは異なる割合で売却代金を分配することは、原則として認められません。例えば、法定相続分に基づいて売却が進んだ後で、遺産分割協議で異なる分配割合を決定したとしても、それが税務上認められることは難しいのです。このため、不動産を売却する前に遺産分割協議を完了させ、相続分が確定していることが重要です。
このプロセスを円滑に進めるためには、相続人全員の合意を得ることが不可欠であり、また、遺産分割協議を遅滞なく行うことが求められます。遺産分割協議が円滑に進まず、協議が長引いてしまうと、相続税の申告や納付に影響が出ることもあるため、相続開始後は迅速に対応することが重要です。
以上の点を踏まえ、不動産の相続や売却に際しては、法定相続分や税務上の扱いに十分な注意を払い、必要に応じて専門家の助言を仰ぎながら進めることが大切です。これにより、相続人間でのトラブルを避け、適切かつ円満な遺産分割を実現することができます。
相続後すぐに不動産を売却するときの注意点
相続税が取得費に加算される特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)
この特例は、相続や遺贈により取得した土地・建物、株式などの財産を相続が開始された日の翌日から相続税申告の期限の翌日以後3年を経過するまでに譲渡契約をした場合、納税した相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。
例えば、2022年4月1日に相続開始(亡くなった)の場合には、2025年4月1日が期限日になります。
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